イカロスMOOK「トライ・ワイドボディ・ジェット DC-10/MD11&L-1011」書評

IL-2 1946向けのMODで空中給油機KC-10を仕上げる前段階として、正しい実機情報を入手しないとなので、本を探しまして。
KC-10そのものズバリなものはニッチな機体だけになかなかないのですが、ベースとなった民間旅客機・貨物機のマクダネル・ダグラスDC-10の本を買って読めば、空中給油機や軍用として改設計された点以外の共通部分について学べるだろうということで、日本語のものとして1冊これを、他に英語のものをAeroFaxのとAirlife's Airlinersなものと、合計3冊調達しました。

とりあえず、「トライ・ワイドボディ・ジェット DC-10/MD11&L-1011」読み終わりましたので、いつものように簡単に。
イカロス・トライワイドボディジェット表紙

タイトルのとおり、DC-10のみのムックではなく、後継ハイテク機のMD-11と、ロッキード製のライバル機・トライスターことL-1011と、ワイドボディの三発機3機種まとめて1冊の本になっています。
ページ数は表紙含んで182ページ。
中身の比率はカラーが90ページ、モノクロが88ページかな。カラーの比率高いなという印象。
3機種それぞれに割いたページ数の割合としては、4:2:4ぐらいですかねえ。どうしてもMD-11は少なめ。
期待していなかったことですが、米空軍KC-10、オランダ空軍KDC-10、英空軍の軍用トライスター(空中給油機能ありのものナシのもの)などについても、わずかずつとはいえ触れられており、ほほぉなるほどと。サイズは小さいがKC-10はカラー写真が3枚、登場時のハイビジで大統領専用機などと共通するホワイト地に青のラインが入っていたりする時代、その次の上オリーブドラブで下面ライトグレーのツートン時代、現在の全体艶なしグレーと網羅されていたりしました。

余談ながら。
英空軍は空中給油機と人員・貨物輸送機のベースとして旅客機として使用されていた中古L-1011の500型(短胴長距離型)を購入したそうです。最初に自国のBAから6機買って、改造して使用し、あとでアメリカのパン・アメリカンから3機追加で買ったら仕様が結構異なっていて元BA機と同じようには改造できなかったので、給油機化も貨物機化も行わずに旅客機仕様を活かした人員輸送専用になったとか。
同じ機種の同じサブタイプでも、そこまで仕様が違うことあるんだ、って、フフッてなりました。読んでておもしろかった。

もともとの私の目的、外見のモデリングを詰めたり、脚の出し入れとドアの開閉、フラップやラダーの構造と動きなどを知りたいという要望には、ほぼ応えてもらえなかった、というオチになります。
そういうページはほとんど無かった。

DC-10とL-1011が開発着手に至る民間航空機・航空会社の前史から、しのぎを削った開発競争、そして進空後のセールスや後継機計画、それが唯一結実したMD-11など、読み物としては大変おもしろかったです。
なぜ長距離型といったバリエーション違いが生まれたか(あるいは断念したか)、また搭載エンジンごとの差異など、興味深いページもあります。
民間機のムックということで、カラーページではとにかく片側側面1枚だけでもこの3機種がまとったありとあらゆる航空会社のペイント写真を網羅しようという意欲作ではあって、半年も塗られてなかった塗装まで写真見つけてきて掲載するなど、その執念には驚きます。
特定の会社の特定の年式のDC-10やMD-11、L-1011のスキンテクスチャを描きたいといったことがあれば、役立ちそうに思います。
また、この3機種を旅客機として運航していた日本のJAL・JAS・ANAとその子会社などの塗装はさらに大判写真を使い差異に触れながらページが割かれていますので、リアルタイムで見て乗ってた方にとってはなかなか懐かしさを感じさせてくれるムックかとも思います。
しかし裏返せば、会社ごとの塗装違いなどには興味がない、という方には意味のあるページ数が3割減かも。ぶっちゃけ私もなのですが。

また、完全に時期がかぶって開発に着手・進展し、どちらがよりたくさん航空会社に買ってもらえるか競争していたDC-10とL-1011だけに、1冊にまとまって両方の内容が書かれていて、共通する要素はこう、違いが際立つ要素はここ、と読み比べられるような構成になっているのは、良かったなと思う点ではあります。
しかし、それだけ1機種あたりのページ数や内容は減るわけで、割合としては前述のように4:2:4程度なわけですから、182ページまるまるDC-10のこと書いてあるムックが仮にあるならば、その4割程度の内容しかなくはなくってことで。そこも物足りなさを生んでいます。
他に日本語ムックないからしかたないんですけどねー、これより深く知りたいとなったらそれぞれの機体を個別に扱った英語の本買うしか。

まあ、まあ、そんな感じで。
編集方針として、どういう読者を想定して構成するかっていうのは明確で、目標はきちんと実現できてるんじゃないかと思いますけど。
そっから外れてた私は、もうそれはしかたないよね、と。

ああ、そうだ!
こういうムックとか本とかちゃんと読んでなかった、さらっと全体おさえる程度だった時期でも。このDC-10とL-1011、それにより大型のB747と3機種の中で、L-1011は標準でギャレー(機内食調理準備室)を階下の貨物室のスペースに配置して小型エレベータで上げ下げしてたってのは知ってたんです。有名だから。そのおかげで客室スペースは広がるし、肉を焼いたりして出るにおいなどが客室にもれでることもなくて都合が良かったってことは図鑑かなにかで読んでました。
なのでL-1011だけの特徴かしらって思い込んでたわけですが。このムックによると、DC-10でも航空会社からの要望で階下ギャレーを選択可能でユナイテッド航空などで採用されてたようで。専売特許ってわけじゃあなかったのね、と。
L-1011のほうは標準だから食材の積み込みドアなどが階下フロアレベルに用意されていたが、DC-10はオプションなので旅客フロアで積み込んでエレベータで下ろす必要があったという違いはあるようで。
そんなわけで、相応に知識欲が満たされるムックではありました。
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Walk Around 2, A-6 Intruder読みました

squadron/signal publicationsの「Walk Around 2, A-6 Intruder」の古書を入手でき、読んだので簡単に。
WalkAround2_A-6_cover.jpg

まずこの本、出たのが1994年と古く増刷もかかってないのか? アメリカなど海外のAmazonマーケットプレイスや日本国内のネット古書店でも大変品薄で、手が出ないプレミア価格がついてることがほとんどです。
RanwersさんのA-6 イントルーダーのMOD作成をお手伝いするにあたり、世界の傑作機などを読んでも外見の造形が分からないところ多数なので参考資料としてすごく欲しくて。とはいえ、そんな法外な金額は出せないので、もう3/4ほど入手を諦めてましたが。
今回、ふと検索かけなおしてみたら普通にアリな、新品定価にちょっと足した程度の値段でポロっと出てるの発見したので即注文。届いて読んだという次第。

む、これかつて、プラモデル等製造販売のハセガワが資料洋書として輸入販売していた版か…… ハセガワのシールが貼ってある……

私は書評エントリ書き下ろしてるように、世界の傑作機A-6、WARBIRDTECHのA-6、このWalk AroundのEA-6Bを買って読んだ上で足りない情報は英語含めネットをあさり、またA-6Eの公式フライトマニュアルも入手してコックピット挙動なども学んでます。
その上でのこれなので、わりと基礎知識があってで、重箱隅ほじくりかえしのツッコミも入ってしまいますが。

参考 Walk Around EA-6B書評 - http://il2itaki.blog135.fc2.com/blog-entry-2769.html

全体として、まさにこれが欲しかった本!ではあります。
精密なプラモデルや3Dモデルを作るなら、ぜひおさえておきたい本です。
入手困難な本をそんなに薦められても困るでしょうけど。
必死にネットを探した写真や説明がポンとあったりします。
ネットで探しても見つからなかった写真も載ってました。脚の根っこのとことか。
ページ数はこのシリーズ標準の80ページ。

エンジンスタートのための圧縮空気の供給口や電源外部供給を受ける口などのアクセスパネルを開けた状態の接近写真とか。主翼下や胴体中央下のハードポイント・パイロンの接近写真なども豊富です。
EA-6B以外の機体の後方スライド開閉するキャノピーの、そのスライド動力部のピストン・シリンダーなどが伺える写真も掲載されていました。私は今回そこは再現しませんけど。
コストの関係かモノクロ写真ページも多いのですが、そういったページでもキャプションで実物の色指定が「ここ緑、ここ黄色、ここ赤」みたいに書かれています。

最大の欠点は、発行が1994年で、最終改修型のA-6E SWIPでコンポジット・ウイングも装備した機体が就役しつつあるときのもので、結構そのSWIPでコンポジット・ウイングな機体の写真も収録されているのですが。この本の中ではあくまでもA-6E TRAMの(生産中止になったA-6F代替としての)改良版という書き方がされているだけで、SWIPという明記がされていません。その改良版って注記もときおり抜けてます。
コンポジット・ウイングはコンポジット・ウイングと説明あるのですけど。
なので、その写真はTRAMなのかSWIPなのか、自分で見分けて、今自分が手がけているのはTRAMなのかSWIPなのかと合わせてその写真を採用していいのかいけないのか、自分で判断できないといけません。
A-6AやKA-6Dも主ではないもののちょいちょい写真の掲載があり、「A~Eに共通」「Aだけの特徴」「Eだけの特徴」みたいにできるだけ注記はされてますが、たまに間違ってそうなものや掲載スペース不足で書ききれてない写真もあります。E TRAM/E SWIP以外を作りたいときなどに注意が必要です。
稀に、比較としてEA-6BやEA-6Aの写真も掲載されているページもあり、おおむねキャプションついてますが、「EA-6型」という書き方しかされてなくて、大変重要なそのEA-6のAなのかBなのか自分で判断が必要なものもあったような。
まったく注記無く、あたかもA-6E TRAMの説明のための写真っぽい書き方でEA-6Bの写真が使われているとこも1箇所見つけました。
私はその写真のそれらの写真の見分けはついたので、脳内で補足しながらふんふんって読めましたが。


そういうわけで、このシリーズの他の機種の本同様、外観を造形するための写真集としては大変優秀なものです。
あとは、その写真が正しく自分が作りたいサブタイプに合致するかを見分ける知識と目を、他の資料で先に身につけておきましょう、ってとこになりますね。


私は部分的に、「ん?じゃあここ私がMOD作りでヨシと思ってた箇所も要修正なのか?」ってこの本を読んだ過程で発見したとこもあったので。
そうなのかどうなのか、追加資料さらに探すか買うかしたいなと思い始めちゃいました。

イカロスMOOK「AV-8B ハリアーII」書評

イカロス出版のJ-Wing編集部によるムック、「AV-8B ハリアーII」を読みました。
イカロスムック_AV-8BハリアーII_sample

F/A-18C/DとAV-8B+がセットになった米海兵隊ジェット機パックをいじるにあたって、正しい性能や兵装を知らねばと思い、買ったものです。
読むのに時間かかって、こないだMODの早期ベータ版を出した時点では、必要な箇所のみをつまみ読みしたのみでした。
MODの早期ベータを出して、ほかのこともこちょこちょして、それからちょっとずつ読み進めて全部読み終わりました。

わりと、そのほかのアメリカ軍機を扱ったイカロスMOOKと同じような構成、内容、バランス、クオリティかなと思いました。
AV-8Bのタイトルですけど、アメリカ海兵隊機のこの名前の機体だけではなく、前身であるイギリスのハリアー・シーハリアー・それを海兵隊が導入したAV-8Aからの流れもしっかり扱われており。
AV-8Bが誕生するより以前の機体で戦ったフォークランド紛争についても、1機1機の戦果が扱われているなど、決して軽視はされていません。
全体ざーーとさらってて、個別の技術的なところは浅いっていうのもいつもどおりかなとは思いますが。1冊目の入門書にはむしろそのほうがふさわしいと、常々言ってきたところなので、それがこのムックの欠点とは思いません。

ただ、これもいつもどおりではあるのでしょうか。専門の軍事ライターに執筆を依頼しているページについてはしっかり書かれているのですけど。
編集部文責で書かれた兵装紹介ページには、最近私がかなり独自に勉強してることもあるのでしょうけど、けっこうデタラメが目立つなあ、という気がしました。入門書にいいはずだけど、ここに書かれてることを初心者がうのみにしたら危ないかなあというところも。
お金かかるけど、編集部で勝手に書くのやめて、全ページライターに依頼した方がいいのでは……

まあ、総じていい本だとは思いますよ。
これを読んでて「あっ、そうだったのか」ってなって、MOD改良に活かした点も多いです。
また、活かしたいと思ってTODOには入れたけど、時間無くて早期ベータではオミットした点もありますが。


イギリスのハリアー・シーハリアーを専門に扱った方の世界の傑作機も合わせて買ってあるので(こっちはまだまったく手つかずですけど)。
また時間あるときに読みます。

メカニックブックス7「F-14 トムキャット」アーサー・リード著の書評

F-14のMODを手がけるにおいて、イカロスMOOKのF-14購入、F-14Dの英語公式フライトマニュアルのPDF入手(有料会員制サイトでダウンロードしたんだったかな?)と資料集めしましたが。

もうちょっと別のことも多面的に読みたいなと思ったので、かなり古い本ですが、原書房のメカニックブックス7「F-14 トムキャット 米海軍が誇る最強の戦闘機」アーサー・リード著・浜田一穂訳、も古書で購入して読みました。
メカニックブックス7_F-14トムキャット_sample

浜田一穂は、原書房の同じシリーズで、ビル・ガンストン著のF-18本とF-16本も訳してて、それぞれなかなか分かりやすさと詳しさが並立してるいい本だったと思ったので。この本もF-14のMOD作りに役立ちそうと期待を持っての購入でした。
ただ、これを読んで分かったのは、F-18本とF-16本が良かったのは、原著者のビル・ガンストンの力量によるところがかなり大きかったのだな、というところ。いやまあその2冊は訳も自然で読みやすく、それでいて誤りのない日本語ではあったので、訳の部分も満足なのですけど。
F-14本の原著者のアーサー・リードは、んーっと「読み物」としては不足はないんですが、MOD作るレベルで技術的側面の掘り下げをビル・ガンストン並に要求してると、まったく届いてないなあ感が強かったです。
また、この本に限っては、主兵装である空対空ミサイルAIM-54 Phoenixの日本語読みを、今ではだいたいフェニックスとカタカナで書くことが多いと思うのですが。浜田一穂はフィーニックスと記述しているので、ちょーびっと読んでてひっかからなくもない、かな? あとは原書に書かれてないことで、日本がF-X選定時にF-15にするかF-14にするか競合でみたいな話を付け足す章があったり。また原書は1978年というかなり古くに書かれたもので、量産サブタイプが存在しないF-14Aのみだった時点のもの。訳書は1985年と時差があり、その間にF-14Dの開発が開始されているなど(採用はもっと遅く1990年だった)変化があったので、そこを訳者が独自に追加した章もあったりするが、そこの文が持ってるテイストの違いとか、追加部分も正確性などに若干疑問がとか、文句はないでもない……かな。

買う前に持ってた期待に比してどうだったかという話になると、その期待のベースになってたビル・ガンストン本との比較にどうしてもなってしまうのですが。
ビル・ガンストンのF-18やF-16は、それぞれの機体のフライトコンピュータが操るフライ・バイ・ワイヤ(FBW)によって、フラップや各動翼がどのように自動制御されるかというのを具体的な場合分けと数字を伴って説明されていて、「すっげー、これ可能ならそのままMOD動作に取り込みたい」って感動すらおぼえたものでしたけど。
アーサー・リードのF-14本では、そういった動翼制御に関する具体的数字がまったくと言っていいほど出てきません。
AWG-9レーダーの探知距離といった性能部分の数字はバンバン出てくるので、そこは評価できるんですけど。
可変翼の角度が、最も前に出てる後退角20度から、飛行中で最も後ろに下がってる後退角68度まで、どういう飛行条件で判定されて角度が決められるのかといった「これ読みたい」といったことは書かれてない。「コンピュータが自動的に最適な角度にする、パイロットは最初は自分で後退角をいじろうとするが、すぐにコンピュータに任せたほうが賢いことに気づく」といったざーっくりした話でしかない。あちゃー。部分的にはイカロスMOOKのほうが詳しいぞ、ってなことも多い。
フライトマニュアルは入手しても読み下すの大変なので、最後にしたかったんですけどねぇ…… まだ読んでないからそっちとの対照はできてないし。

あとまあ、やっぱ1978年当時の本なので。
2017年の後知恵をもってすると「あの当時は隠されてた事実が、今はこう明かされてて」みたいなことが、その隠されてる時点の情報で書かれているわけなので、「それは実は違うんだよ」ってなことが堂々と書かれていたりするから、そこはもう仕方ないと割り切って、別からも情報入れましょうねと。
たとえば「F-111を空軍海軍で同じベース機体を使えるようにするなんての、最初から失敗するの分かってたダメな子」扱いされてますし。今では、まあたしかに最適機体とは言いがたく専用機体のF-14のが良かったは良かったに決まってるけど、とはいえ海軍が拒否る前提でゴネまくってダメの烙印押したんだよなーって分かってますよね。
それはそれで、そうと分かって読むならおもしろいかもしれない。
あと、これは原著者の見解ではなくて、米海軍飛行隊長中佐がF-14に実際に乗って「こんないい戦闘機なんだぜ」って語ってる章で、その中佐の意見なんだと思いますけど。「F-14は可変翼だからすごく小回りがきく。さすがに空中で止まれるハリアーには負けるけどな!(HAHAHA」って部分も目を引きました。これも1980年ぐらいまでは英米日どこでも言われてたことで、たしか江畑謙介も騙されてたと思うので、仕方ないんですけど。もっとずっと後になって、ハリアーで戦闘機動してるときにノズルを下向きに回すのは、運動・位置エネルギーを失うデメリットが大きすぎてやらないほうがいい、ってことになったはずです。

なんかマイナス点ばかり書いてしまいましたが。
F-14という機体の開発史と、それ以前のF-4といった機体と比較してすばらしく良くなった点のざっくりした話については、かなり気持ちよく書かれてます。
グラマンがどれだけF-14の量産体制に工夫をこらしたかとか、また開発チームがどれだけ頑張ったかとか、「プロジェクトX」的な感動エピソードとして楽しめる面は多かったです。今の私はそこにあんまり興味を持たなかったわけですけど。
AWG-9レーダーと火器管制システムが、さまざまな追尾モードを持っていてどのように空対空ミサイルで敵機撃墜できるかといった面は、数字も伴いなかなかにその優秀さを掴みやすいように書かれています。残念なことに、その部分はIL-2 1946向けのMODを作る上では再現がかなり困難なところで、せっかく書いていただいても採用することができなかったりします。

あー、あと「ん?これは違うくない??」って思ったのは、主脚についての記述かな。
P47から「単純で頑丈な脚」って節がありますけども。
MODで関節の動きなどをプログラミングしてると、F-14の脚が単純だなんてまったく思えない。
後発のF/A-18はかなり複雑な、途中で折れる主脚なので、それと比べたら単純かもしれませんけど、この本の時点ではF/A-18なんて影も形もないわけで。
比較対象を、同じ海軍艦上ジェット戦闘機の先輩格であるF-4やF-8にとるとですね。
F-4は主翼中ほどに脚の根が取り付けられていて、そこに回転軸があって、1軸回転だけでタイヤを内側の機体側に引き上げますよね。WWIIで言えば(細かな引き上げのアクチュエータの取付や関節などの違いは無視すると)零戦やFw 190なんかと共通の単純構造。
F-8は胴体から斜め三角形に支柱が外向きに出てる先にタイヤがついてて、支柱根っこがやはり1軸回転だけで全体を前方胴体内側に引き上げるのみです。超単純。
で、F-14ですけど、まず前方に真っ直ぐ引き上げられるんですけど、そこから内側の胴体も外側のパイロンもよけながら軸中心にするりと90度タイヤがひねられて、主翼の根本のところにスポッとはまるんですね。A-6とほぼ同じなんですけども。F-4やF-8に比べると軸が多くて複雑。MODで再現しようとして知ってる部分だと、いや違うよ、単純じゃないよ、ってなっちゃった。

やっぱり文句ばっかりになってしまいましたが。
日本語で読めるF-14の本ってあんまり多くないと思うので。
古くてクセのある本だということを把握して読むぶんにはいいんじゃないかと思います。

世界の傑作機43 KC&C-135シリーズ 書評

この本で扱われているKC-135を直接、今MOD制作しているわけではないんですけども(将来的に作れたらいいなーとは思ってます)。
MMD用モデルからのコンバートで、さらに後でアメリカ空軍に導入された大型のKC-10をMOD化していて。
wikipediaに載っていることや、A-4本で扱われていた米海軍・海兵隊でのバディタンカー運用でプローブ&ドローグ方式の空中給油をすることは読んでいたりはするけども。もうちょっと専門的に、フライングブーム方式の空中給油機について知っておいたほうがいいだろうと思い。
KC-10そのものを扱った本は、和書では皆無、洋書でもちょっとすぐ入手できて読みやすいものはなさげだったりするので。
前型のKC-135についての本ってことで、こちらの世界の傑作機43「KC&C-135シリーズ」を買いました。
買ったはいいけど読み終わる前に、いったんクローズドα時点でKC-10を諦めたんですけども。
追っかけ、読み終わったので書評。

世界の傑作機43_C_KC-135_sample

タイトルが「~シリーズ」になっていることから、空中給油機のKC-135についてだけでなく、電子戦機や電子追跡機などのEC-135、電子情報収集機などのRC-135、気象偵察機WC-135、そのほか派生型も把握されてるものは全網羅されており。それだけでなく胴体設計や改造母体が異なり、いわゆる「エアフォース・ワン」として取り扱われた大統領専用機VC-137やVIP機C-137も少しページを割くなど、どばーっと内容豊富です。
表紙込み全100ページの、この頃の世界の傑作機標準の厚さでありますが。豊富なバリエーションをできるだけ写真で説明して、この機体はこんなレドームを抱えてる、こんな改造ノーズになってる、こんな丸窓多数開けられてるっていうのがいぃーっぱい掲載されています。
一大ファミリーなことは知っていたけど、ここまで多彩な中身だったとは、それも少しずつ仕様が違ったりして、って初めて見ることが多数でした。
そのぶん、空中給油についての歴史と技術・メカニズムの説明には8ページしか使えてないなど、空中給油のことだけが知りたい人にとっては、無関係なページ多すぎって思ってしまうかもしれません。
なぜKC-135が、アメリカ空軍で初のジェット推進空中給油機として採用されたのかという、その開発史のところは、また別にページが用意されていて。そこは十分な説明が足りていたとは思います。

全体のページ数の中での、写真・文章・図面の分量バランスはベストに思いました。
ページ数の取り合いになる面があるとはいえ、いったん電子戦用のEC-135系として製造されて使用されたものでも、邪魔にならないならフライングブームも持った状態で使用され、ECとしての役目を終えたときにKC-135に復帰してる個体もわりとあったりして。また、それだけ多彩な用途に選ばれたということもこのシリーズの優秀さを物語っており、バリエーションの説明から削れる部分はありません。
「この部分は重要度が低いから少し削って、こっちの記述が足りないと感じた章に回して欲しかったなあ」なんてことはまったく感じませんでした。
とにかく、書けることがある・載せれる写真がある機体は網羅する、という編集方針のおかげで、この本の価値は大変高くなっていると思います。
あ、なお、ボーイング707ベースのアメリカ空軍機でも、E-ヒトケタ型番なもの、AWACSのE-3セントリーなどは扱いがありません。

空中給油に関しては、腹部に2列のパイロット・ディレクター・ライトがあって、給油を受けに接近してきた機体をフライングブームを伸ばすのに適切な位置に導くために、「もうちょい前」「もうちょい上」「今ベスト」っていう位置情報を教えるライトが2つ点灯するようです。
これは知らなかった。
KC-10にもあるのかしらん?あるならMOD再開したときに作りつけるのだけど。

まー、そんな感じです。
購入を検討してる方の参考になれば幸いです。


(ちょい追記)
この本読んで、「KC/C-135シリーズ間抜けでおもろい」って思ったのは、「常用客室ドアが存在しない」ってことなんです。
開発ベースになったモデル367-80は旅客仕様で開発・試作されていたみたいですが。
そこからKC-135にするにあたり、最初から貨物機仕様で設計され、また胴体後部にジェット排気の干渉だかなんだかで強度問題が出て補強をぐるぐるすることになった影響もあるのかもしれませんが。後の民間貨物機と同様、左前方にコンテナが通れるサイズの大きな貨物ドアが1枚あり。主翼上や胴体後部に小さな非常脱出口は3つだか用意されてますが。人が通ることを目的とした常用ドアはコックピットフロアレベルには存在しない。
首脚左側にハッチがあってコックピット後部からハシゴが下ろされるようになっていて、乗員の出入りはそこからするようです(言い換えればタラップ車などは必要としない)。
KC任務ならそれでいいようですが。C-135ベースのVIP機でVIPにハシゴで上下させるわけにはいかなかったようで、貨物ドアを開けてそこにタラップ車をつけるのだけど、そのままだとタラップ車の横に大きな開口部ができて危険なので。VIP機のみ、貨物ドアの内側に(民間機の客用ドアぐらいの)タラップ車幅だけを残して二重の円筒構造を付け足してるのが見て取れる写真があり、おもしろいなあってなりました。

また、駐機中の写真で、1日中エンジン止まってる=空調止まってると日光カンカン照らされて内部温度が上がってしまうのを防ごうと通気してるのか。非常脱出口を開けた状態の写真もEC機に複数見受けられ。
毎日決まった時間に飛んでいく民間機と違った苦労がありそうだなあって思いました。
これもちょっとクスッとした点ではあったりしました。
プロフィール

western0221

Author:western0221
2010年7月30日にIL-2 1946を始めました。
好きなアニメは「ダーリン・イン・ザ・フランキス」「刀使ノ巫女」「グランクレスト戦記」「ダメプリ ANIME CARAVAN」「りゅうおうのおしごと!」「ゆるキャン△」「魔法使いの嫁」「からかい上手の高木さん」「メルヘン・メドヘン」「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」「BEATLESS」「タイムボカン逆襲の三悪人」「アイカツスターズ!」「CCさくら CC編」「ラーメン大好き小泉さん」「スロウスタート」「宇宙よりも遠い場所」。

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