日本の航空会社でも機長締め出しは起こったことある(ジャーマンウィングス機関連)

3月24日、ジャーマンウイングスのA320機がフランス南部のアルプス山中に墜落した事故で。
現場から操縦室の音声を記録したボイスレコーダーが回収され、そこに操縦室から閉め出された男性パイロットが操縦室のドアを破ろうとする音がボイスレコーダーに記録されていたと報道されたことで、もう1人の操縦士による自殺行動ではないのかといった、現時点ではなんの根拠もないセンセーショナルな憶測を呼んでいますが。
あるいは、実際にそうである可能性はもちろんあるわけですけれども(A320の操縦系統の多重安全設計などを踏まえれば)。

CNN.co.jp ドイツ機墜落、パイロットの1人閉め出しか
2015.03.26 Thu posted at 10:26 JST
http://www.cnn.co.jp/world/35062302.html

この報道で、私がまっさきに思い出したのは、この日本で起こった重大インシデント(客室乗務員2名が軽傷)でした。
2011年9月6日夜、沖縄・那覇から東京・羽田に飛行していた全日空系列エアーニッポンのボーイング737-700が、副操縦士の操作ミスで機長が操縦室に立ち入れなくなると同時に機体を激しく左に傾けながら急降下したというもの。

以下、国土交通省・運輸安全委員会の調査報告の概要と報告書そのもの(PDF)
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/detail.php?id=2030

上のページにはWindows Media Video形式による簡単な再現アニメーションも掲載されていますが、通常の民間航空機ではありえない激しい動きが起こっており、長距離の高空巡航飛行中に起こり下も海面だったことから機体の姿勢と安定を回復できて事故にはなりませんでしたが、もしも副操縦士がさらに激しいパニックを起こして姿勢回復に失敗していたりすれば、機体に強度を超える負担がかかって空中分解→墜落を起こしていたかもしれない、大変危険な状態になりかけていた重大インシデントでした。

このエアーニッポン機の重大インシデントが起こった経緯については、報告書を読んでいただくのが(そんなに難しく書かれていません)もっとも正確なわけですが。
簡単に書きだすと……
・現在は航空テロ予防のため、操縦室の入口ドアは電子ロックされて中から解錠操作しないと開かない
・機長がトイレに行きたくなり、副操縦士に操縦をまかせてトイレに立った
・トイレが終わった機長が入室しようとしたので副操縦士はドアを解錠しようとしたが、以前乗っていたB737-500の操作盤でドア解錠ノブがあった位置にB737-700では機体の姿勢を調節するラダートリムの変更ダイヤルがあって、管制官からの通信が入ったりで他の操作をしている途中だったこともあって解錠操作したつもりでラダートリムを左に動かしていた
・解錠されないので機長は入室できず、一方ラダートリムが大きく動かされて機体は左に傾きオートパイロットが解除されさらに傾いて急降下を始めて
という流れですね。

ジャーマンウイングス機で何が起こったかは、さらなる事故調査やフライトレコーダー回収・解析を待たねばなりませんが。
なんら故意ではない、ただのちょっとした操作ミスでも、このように機長の締め出しから急降下という重大インシデントが、こんな身近なところでも起こっていたんですよという、だから断片的な報道からやたらセンセーショナルに騒ぐのはどうかな、ということです。
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CFITという航空事故分類がイマイチ分かりづらい

なんとなく航空事故の事例をwikipediaなどで見てて、こういう事故の分類があることを知りました。

CFIT
http://ja.wikipedia.org/wiki/CFIT

CFIT (Controlled Flight Into Terrain) は、航空事故の一形態で、異常のない航空機(Airworthy Aircraft)が、異常のないパイロット(Qualified Pilot)によって操縦されている場合に、地形(Terrain) を誤解するなどして衝突の可能性に気付かないまま(Inadequate Awareness of Impending Collision)、山や地面、水面、地上障害物等に衝突する事故のことである。


wikipediaだけではどうも分かりづらいのですが、日本語の解説はほとんど無く、wikipediaもおそらく英語版から訳しただけでしょう、唯一、もっと詳しい現役パイロットの方から解説されたページがここになります。
http://www.cfijapan.com/study/html/to099/html-to035/009-CFIT.htm
筆者の実体験に基づいた具体的説明がなされているので、こういうものなのかというのがwikipediaの文章だけより説得力があります。

ただ、両方を読んで、さらにwikipediaのそこのページの記事内リンク、またはカテゴリとしての「CFITによる航空事故」タグがついてる航空事故の記事も読んでみて、なんか納得というか、ド素人の私の直感に反する分類のような気がするのですよね。
航空事故にかぎらず、なんらかの事故の原因推測(断定)やその分類方法には、専門家ならではの流儀が多数あり、素人目にはなんでこうなるんだろうって疑問に思うことは珍しくないと思いますけど。これもその一つなのかな、って。
だからそこは流してもいいんでしょうけど、私が何に納得できなかったかせっかくなのでここに書いておこうかなと。

まず逆に、『こういうのはCFITじゃないんだよ』という方向でこの定義をとらえてみようとすると。
「異常のない航空機(Airworthy Aircraft)」
これは問題ありません。
エンジンが停まったとか、着陸脚が故障で出なくなったとか、火災が発生し延焼したとか、機体の一部が物理的に破壊されて操縦が不可能になったとか(日本航空123便など)、そういう場合は「異常のある航空機」でありCFITから外れる、明快です。
あとはコックピットの計器が故障したりピトー管が詰まって速度などが正しく得られなくなったとかも「機体に異常アリ」でCFITから外れる、でいいでしょう。
ところが私にとって、「異常のないパイロット(Qualified Pilot)」こちらのほうがどうも納得いかないのです。
言い換えると、wikipediaでCFITに分類されているような、あるいは上田浩史氏の事例のいくつかが、「え?それってパイロット全然Qualifiedじゃないよね??」って思えるのです。

上田氏が具体的に上げている事例に、有視界飛行(VFR)の資格しか無いパイロットが雲が垂れ込める中で山越えを試みて山肌に激突してしまうという事故。日本でも小型機で年に数例起こっていると思いますが。これがCFITというのがまず納得できません。
Qualified Pilotなら、ある程度の雲の低さと前方の越えようとする山の高さを総合的に判断して、「こりゃ無理だ、引き返そう」っていう判断をするものなのではないでしょうか。
雲が低く垂れ込めVFR故高度が取れず、でも山地に入ってきて地面はどんどん持ち上がってくるから「地面からの高さ」は相対的にどんどん低くなる、激突の危険が増す、にもかかわらず飛行を強行する、その明らかで重大な判断ミス、これって全然Qualifiedじゃないべ?って思えてしまうわけです。

また、多数の犠牲者を出した民間旅客機の事故においても……

大韓航空801便墜落事故
悪天候の中、空港の計器着陸装置(ILS)のグライドスロープ(取るべき飛行高度を示す)が停止した状態で着陸しようとし、早く降下しすぎて手前の丘に激突。
これもまず、そのような難しい条件の着陸を強行した判断はQualifiedと言えるのか?って思いますし。
また副操縦士と航空機関士は着陸復航(ゴーアラウンド)の助言をしたにもかかわらず機長が無視して機械音声の警告が鳴るまで降下を続けた第2の判断ミスもはたして?って思いますし。

イースタン航空401便墜落事故
たっだ12ドルの電球が切れたことに気を取られて最新鋭機と100名以上の人命を失ったことで有名なこの事故も、2名のパイロットのどちらもが、空港上空を低高度で旋回するという危険な状況にも関わらず4分間も一切計器を確認してなかったという行動はどうなん?って思うわけです。

クロスエア3597便墜落事故
についても、大韓航空801便と条件は近く、悪天候下でILSの使えない滑走路への着陸を行わねばならず、しかも後の調査で分かったこととはいえ機長は過去に複数回の明らかにおかしな判断を繰り返している札付きであった、これがQualifiedなんかね?ってなるし。

サンタバーバラ航空518便墜落事故
に至っては、必須の飛行前手順を実行せずに離陸し、そのため航法装置は正しく動作しておらず飛行地点を見失う原因を作り、無許可の出発経路を使用したというのも言語道断、これがCFITならなんでもCFITになっちゃうって思います。

どうでしょうか。


一方で、次のこれらは「たしかにCFITだわ」って分かるものです。
アメリカン航空965便墜落事故
自動操縦装置のユーザーインターフェースの特殊な動作が周知されておらず、入力したつもりと全然別の場所に飛ばされていって迷子になって墜落、パイロットにミスに気づくチャンスは少なかったと素人にも思える。
ニュージーランド航空901便エレバス山墜落事故
パイロットの知らないところでINS(慣性航法装置)に入力する通過すべき座標が変更されてたのなんて、パイロットじゃどうしようもない。


「そういう定義なものだから」って言われたらそれまでですけど。
まぁ素人だからさ、こっちも。疑問持ったよっていう、それだけです。
プロフィール

western0221

Author:western0221
2010年7月30日にIL-2 1946を始めました。
好きなアニメは「ゲーマーズ!」「ボールルームへようこそ」「NEW GAME!!」「ひなろじ」「ナイツ&マジック」「天使の3P!」「アイカツスターズ!」「メイドインアビス」「恋と嘘」「サクラクエスト」「プリンセス・プリンシパル」「アクションヒロイン チアフルーツ」「戦姫絶唱シンフォギアAxZ」「徒然チルドレン」「バトルガール ハイスクール」。

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